働き方の多様性が広がる現在、副業やフリーランスという言葉は以前よりもかなり身近なものになりました。
そんな中で「副業フリーランス」という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。
副業フリーランスとは何か。また副業フリーランスをおすすめする主な理由を解説します。
副業フリーランスとは?
副業フリーランスとは、企業に所属するという本業を持つ傍ら、個人としても事業を営む人のことです。わかりやすくいえば、会社員が副業を行うということです。法人化しているケースもあるため、副業=フリーランスではありませんが、多くの場合は、一定の収入に到達するまではフリーランスとして副業をこなします。
副業を開始していきなり起業するケースは少ないため、何かしら副業を始めればほとんどの場合、副業フリーランスに該当します。
フリーランスとは
フリーランスとは、特定の企業や組織に所属せずに独立して仕事を行う個人のことを指します。フリーランスは、自分のスキルや専門知識を活かして、複数のクライアントと契約を結び、プロジェクトや業務を行います。
固定給ではなく、契約したプロジェクトや仕事の量によって収入が変動します。努力と成果が直接収入に反映される面がありますが、仕事の量が不安定な場合があるため収入の管理が重要になります。そのため、仕事の獲得から納期の管理、税金の申告など、全て自分で管理しなければならず、自己管理能力が非常に重要です。
副業とは
副業とは、本業とは別に行う仕事のことを指します。正社員として働きながら、収入を補うためやスキルアップのために副業を行います。副業にはさまざまな形態があり、フリーランスのプロジェクト、アルバイト、オンラインでのビジネス、投資活動など、幅広い活動が含まれます。
本業以外で生計を立てられるほどの収入を得ていれば、それは立派な副業と言えるでしょう。副業は追加の収入源となり、経済的な安定や生活水準の向上につながります。さらに、新しい分野での経験やスキルを習得する機会にもなり、キャリアの可能性を広げることもできます。
副業フリーランスは誰がなるべきか
ここまでの説明だけを見ると、「全員が副業フリーランスをやるべき」と思えるほどメリットが大きい一方で、当然ですが、そこには普段の業務に加えてさらに働いたり勉強したりと+αの努力が必要になります。ほとんどの人は、その「人一倍の努力」ができずに諦めてしまいます。
たしかに、ただでさえ楽ではない本業を全うしながら、さらに別の仕事や勉強をするのはとても大変なことです。全員が全員できることではないでしょう。ただし、「人一倍の努力」をしたことで得られるものは、他人が持っていない特別な財産になります。だからこそ、副業フリーランスになるには相応しい動機が必要になります。
これらを踏まえて、副業フリーランスになるべきなのは次のいずれかに該当する人です。
- 是が非でも収入を増やしたい
- 今の仕事に意味を見い出せていない
- 世の中が決めた正解や生き方に疑問がある
「なんとなく収入を増やしたい」程度では苦労に耐えがたいため、収入を増やすことの目的や目標が必要です。さらに、この先の人生を考えたときに「今のままではまずいんじゃないか…」と漠然とした不安を抱えている人は、副業フリーランスが未来に向かうその一歩になるかもしれません。
副業フリーランスをおすすめする5つの理由
そんな良し悪しのある副業フリーランスをおすすめする理由は、次の5つです。
- 収入を増やしやすい
- メンタルのバランスを取りやすくなる
- 仕事に対する価値観が変わる
- 働き方の選択肢を広げられる
- 生き方の選択肢を広げられる
わかりやすいところでいえば、まず明らかに収入が増えることです。続いて、はじめは収入を増やすことが目的だったとしても、仕事や働くことに対する価値観が広がっていきます。そして次第に、世の中や自分という存在を広い視点で考えられるようになっていきます。
収入を増やしやすい
本業以外で労働時間を増やせば収入も増えるというのは当然のことですが、副業フリーランスが稼ぎやすいのは、主に昇給と比べた場合の難易度にもあります。
例えば、会社で上位数パーセントに入る評価を受けて年収が60万円アップするとします。月給に換算すると月5万円の昇給です。ほとんどの人にとってこれは大きなことだと思います。ただし、上位数パーセントに入るほど成績は決して簡単なものではありません。
そこで、同じ金額を昇給に頼らないとしたらどうでしょうか。業務や能力にもよりますが、月に5万円の副業収入を得るのは努力次第で誰でもできることです。月に100万円などに比べればかなり現実的でしょう。
このように、会社員の給料とフリーランスの報酬では額も相場も異なるため、人によっては副業フリーランスとして働くことで収入を増やしやすくなる場合が多いです。
メンタルのバランスを取りやすくなる
本業と副業という2つの柱を作ることで、どちらか一方が揺らいでもメンタルのバランスを取りやすくなります。
ほとんどの場合、本業は会社の指示で仕事をこなすため、自分の意思だけで動くことはできません。言い換えれば、色んな制約がある中で仕事するのが世の常でしょう。対して副業フリーランスは、仕事を受けるのも報酬を得るのもすべて自分であるため、他者の制約などなく100%の裁量を持ちます。
制約の大きな仕事と、自由な意思でできる仕事。これらが同じ「仕事」の中でバランスを取ってくれるため、例えば、本業でミスをして落ち込んだ場合でも、副業という別の人格が軌道修正します。
仕事に対して2つの人格を持つことで、「どちらかが落ち込んでも、もう一方があるから大丈夫」とモチベーションを保ちやすくなり、そこから相乗効果が生まれ、本業・副業どちらもパフォーマンスが向上することも多いです。
仕事に対する価値観が変わる
会社員とフリーランスでは働き方がまったく異なるため、仕事に対する価値観も変わるでしょう。フリーランスには就業規則がなく、いつ・どの程度・どんな仕事をするのかを好きに決められ、見積りの金額も自由に設定できます。その代わり、経理や財務系の仕事も自分でやらなければいけません。
会社員は基本的に分業ですが、フリーランスは分業するかどうかも自分で決めます。どちらもメリット・デメリットがある中で、両方を経験するからこそわかることがあります。「仕事」という漠然としか捉えていなかったものに対して、思考が深まれば精神的にも安定したり、目標が生まれたりと見識が広がる価値は大きいです。
働き方の選択肢を広げられる
仕事に対する価値観が変われば、働き方の選択肢も広がります。就業規則がないフリーランスは、いつどこで仕事するのも自由です。リモートワークが普及したとはいえ、「仕事は会社に出社するもの」が常識である世の中で、会社員のみの経験では、そんな固定概念から脱却できないでしょう。
実際には、働き方に画一的な正解はなく、何が正解かは人によって異なるものです。世の中が「正社員が安定で正解」と定義しているからといって、誰にでもそれが当てはまるわけではないでしょう。
むしろ、自分に合った・理想とする働き方は、色んなことを試してみなければ知る由がありません。いきなり独立するのはリスクを伴うため、まず副業フリーランスとして活動することで、異なる働き方を比較するのがおすすめです。
生き方の選択肢を広げられる
働き方の選択肢が広がれば、生き方の選択肢も広がります。人間にとって、仕事をしている時間は人生の大部分を占めます。つまり「どう仕事をするか」は、そのまま「人生をどのように生きるか」に直結します。
漠然と人生に悩む人は少なくないと思いますが、明確に「こう生きたい!」と言える人もまた多くはないでしょう。だからこそ必要なのは経験であり、会社員という働き方と、それをベースにした生き方がすべてではないと気付けるかどうかもそれ次第なのです。
「なんとなく副業が人生を変えた」という話は珍しいものではありません。一概に副業フリーランスが正しいわけではないからこそ、そこから何を得られるかを意識して取り組めるかが大切です。
副業フリーランスになるときの注意点
副業フリーランスにはこれらのメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。具体的には次の3つです。
- 本業に支障をきたさない
- すぐに結果が出ると思わない
- 収入ばかりを気にしない
副業もフリーランスとしての活動も、一朝一夕で成るものではなく、継続して取り組んで徐々に形になっていくものです。そのため、目先の利益や効果にばかり執着してしまうと「大変な割に身にならない」と安易に考えてしまうでしょう。
すぐに結果が出ると思わない
キャリアや仕事の熟練度がそうであるように、副業フリーランスにおいても結果が出るまでそれなりの時間がかかります。正しい方向性で、人一倍の努力をしてようやく報われるタイミングが来る。仕事とはそういうものであり、「いずれ楽に働きたいから」や「自由に働きたいから」といった目標は結構ですが、それが短期間で実現するとは考えないことです。
フリーランスにはフリーランスとしての素地が必要ですし、異業種の副業に挑戦する場合はスキルや能力を身に付けるための勉強期間も必要です。フリーランスには、会社員にはない夢があることはたしかですが、それが今日明日で手に入るような簡単なものではないことを理解しておきましょう。
だからこそ、副業フリーランスの活動を継続していけば徐々に色んな選択肢が生まれ、目先の利益に左右されることなく自分にとって最適な道を選べるようになります。
収入ばかりを気にしない
目先の利益ばかり追わない話と関連しますが、収入や報酬ばかりを気にしていると仕事は増えません。仕事あたりの報酬が高い方が理想なのは当然ですが、仕事で得られる価値は必ずしも金銭だけではありません。
駆け出しであれば、なによりも実績と経験。プロであっても、ときには報酬額よりもコミュニケーションの機会や信頼を積む方が価値があるなど、「その仕事の価値」は色んな要素を複合的に考えて判断しないといけません。
まだ何者でもない自分が収入ばかりに気を取られていると、その仕事を通じて得られたはずの色んなクライアントとの縁や、副次的に生まれる次の仕事など、その裏にある価値を手にすることはできないのです。
本業に支障をきたさない
最後に、これがもっとも大前提になりますが、副業によって本業に支障をきたしてはいけません。独立ではなく副業フリーランスとして活動するメリットは、前述のとおり「本業と副業の相乗効果」でもあります。にもかかわらず、本業を疎かにしてしまってはバランス感覚がおかしくなり、副業にもあまり良い影響とは言えません。
やるべきことをやったうえで、副業としてフリーランスとしても活動する。それを徹底しなければ、フリーランスで継続的に収入を増やしていくことも難しくなります。さらに、トレードオフにしがちなことで、色んな場面で人からの信頼を失いやすくなるでしょう。
本業だろうと副業だろうと、関わる人に個人的な事情で損をさせない。それは副業フリーランスとして活動する上での鉄則です。